自分の頭で考えることが大切
石田由香
年も明けて、1月も終わろうとしています。
早いものです。
昨年の今頃は、「ものづくり補助金」という初めてのエントリーに向けて
社内で着々と準備を進めていたことを思い出します。
https://en-job.com/blog/000449/
あの頃は、まず通らなくて当たり前のエントリーに挑戦していたので
周りが霧で景色が見えない中を、必死に走っていた記憶があります。
そのものづくり補助金では、自社の状況や事業計画というものを記載していかないといけません。
文章と数値で、審査をして頂ける方達に向けて
資料を作成していきます。
その中で自社の売上や利益や客単価などの現状を、
実際に使っている基幹システムからのデータを元に集計し
グラフ化して、その説明をします。
どちらかというと私は、理系か文系かで言うと
バリバリの文系タイプです。
英語はちょっと置いといて
現国や古文、歴史や地理なんかが得意で
化学や生物、数学の微分積分や確率統計なんかは
皆目ダメでした。
短大受験の際には
英語や数学を受験科目に入れていない学校を
真剣に探したものです。
そんな私を見かねて
補助金申請のお手伝いをしてくれていた
中小企業診断士の先生が
事業計画書のシートを用意してくれました。
簡単なエクセルシートで、
月別に売り上げやお客様人数、粗利益を入れたら
自動的に客単価が計算され
増加率を入れたら年単位で未来の計画が立てられる。
というものでした。
エンジョブはオープンな会社なので
毎月、社員全員を集めて社長から経営状況の発表があります。
当然のことながら
その中では売り上げや粗利、経常利益なんかも含まれています。
文系の自分にとってはその数値を聞いても
ただの「文字」にしか見えなくて
「意味を持ったもの」には入ってきません。
単純に「今月も黒字だった。ああよかった」程度にしか入ってきませんでした。
しかし中小企業診断士の先生のシートのセルの中をのぞき
計算式を実際に見て
「ああ、会社の数値はこのように計算されているのだ」
と自分の中に入ってきました。
恐らく難しい計算式ではなく
単純で簡単な数式だったからだと思います。
秋から消費者庁などが出す統計を探したり
業界を含む市場を数値で分析したりなどしていたのですが
ふと・・・・。
本当に、ふと何かが自分に降りてきました。
「エンジョブの今の状況をこの数式に当てはめてみたい」
最初は計画書のページを埋めるために
作業的に中小企業診断士の先生のシートに入れたものを
ただ書き写すことをしていました。
しかし、計算式を見てその数値の意味を知り
今の会社の数値を元に、
「意味を知った上で」その結果として出る数字を知りたくなったのです。
「意味を知った上で」というのが重要で
意味を知ってて出た数字を見ると
今まで見ていた会社の業績というものが
全く違った景色として目に映ったのです。
そうすると、色々な数値の検証がしてみたくなりました。
その中でやってみたことは
「お客様1人に対しての粗利益」というものでした。
粗利益というのは超簡単に言うと
お客様に売った金額から単純に仕入れ値を引いたものです。
それまでは、
少人数のお客様を扱うより、大人数の団体のお客様を扱った方が
1件当たりの売り上げが上がって、会社が儲かる!
そう考えていました。
年商1億円より、年商10億円と聞いた方がカッコよく感じませんか?
儲かってるぜ!
という印象がします。
しかし、実際には
年商1億円でも利益が5千万円の会社
と
年商10億円あるけど利益が4千万円の会社
とあれば当然儲かっているのは利益がより多い、年商1億円の会社です。
そこで私は考えました。
経営の世界では利益の話をする際に「利益率」という言葉がよく出るだけあり
パーセンテージで利益計算をするのが通常です。
しかし、私はバリバリの文系の脳を持っています。
利益率を1%増やしましょう!
と言われても自分はあまりピンと来ないです。
そこで考えました。
お客様にたくさん利益を落としてもらうためには・・・。
うちの会社のメインは旅行業です。
旅行に行くのに、一人当たり一万円多く払ってもらうと言っても
ちょっと負担が大きいよね。
あまり現実的ではない。
だったらお客様1人あたりの粗利益を、500円アップしてみてはどうだろうか。
500円多く支払うことについては、それほど躊躇しないのではないか。
まずはそんなことを考えました。
そうするとお客様一人の粗利益を500円アップしたとして、年間の粗利益額を単純計算したら、ものすごい金額が増えることが計算して分かりました。
ただ500円の値上げをしてもお客様は喜ばないし
離れていくだけだぞ。
だったらどうしよう・・・。
そうか!
一般的に販売されているプランだけでなく
お客様にとって付加価値を感じてもらうプランを作って出したらどうだろうか
などと考え始めると止まらなくなりました。
試算すればするほど
めちゃくちゃゾクゾクしてきました。
自分一人で声を上げてもなかなか全体には浸透しない。
だったら課長さん達を巻き込んじゃえ!
そう思って多田課長や斉藤課長を集めて説明をしたら
利益がどれだけ上がるか金額で示したら、
即反応してくれました。
その後は課長さん達が中心となり、利益を出す運動を始めてくれました。
更には春になり、夢合宿という課長さんが行く研修を通して
お客様の粗利を増やす仕組みづくりをして
稼働させてくれました。
その結果、このコロナ禍で世間の旅行会社が
赤字だ不況だと言っている中で
コロナ禍に入る前以上の業績を出しています。
一部上場の会社であれば
大卒の頭のいい人材が集まっているので
利益率とかでもちゃんと話は通じるし
中小企業診断士の先生が計算シートを用意しなくても
自分達でシミュレーションもできると思います。
しかし、田舎の中小企業だと大卒の人もいれば高卒の人もいて
あまり難しいことを言われても
なんだかわかるようでわからない。
そんな人も出てきます。
やはりそんな人たちでも考えられる考え方があり
理解できるやり方がある。
結果を出すには、作業的に決まったことを決まった通りにやるのではなく
自分の頭でまずは考える。
そうじゃないと何も始まらないのだと体験できました。
オミクロン株も出てきて、旅行業界の情勢はいいとは言えませんが
エンジョブは社長や課長さんを中心に
業績を上げることへちゃんとベクトルを指し
みんながそこに向かって行っています。
だからエンジョブは強い。
このコロナ禍も乗り越えられる。
そう確信しています。
更に業績を上げられるよう
より成果につながるシステム作りに邁進します。