私の仕事観
石田由香
会社勤めをすると、事務職であれば必ずタスク的なものを任されます。
些細なところから例を出すと、任された場所の掃除。
同じ「玄関」という場所を10人が掃除をしても、掃除マニュアルと言うものが存在したとしても、10人いれば10通りの「出来栄えの差」が出てきます。
マニュアルとは10人いれば大体70~80%程度のクオリティで成されればいい。
と言うレベルでできていますから、「床をホウキで掃きましょう」と書かれていれば、時間をかけて丁寧に隅までやる人もいれば、時間をかけずに「ある程度」までやる人、「一通り」ホウキで撫でる人。様々です。
その積み上げが「玄関」の掃除の完成度となります。
同じ決まった15分と言う時間を掃除するのであっても、その人の持つ「価値観」というものが出てくるし、意外に掃除のクオリティが仕事につながっている気がします。
掃除機に溜まったゴミを捨てる。
とマニュアルに書いてあります。
ゴミは溜まっているけど、掃除機はまだ動きます。
でも見た目には満タンだから捨てる人もいれば、
見た目に満タンでも
「まだ動いているから」
と次の掃除をする人へ掃除機のゴミ捨てを送る人。
色んな人がいます。
「今回、自分は掃除機をかけられたから」
と、掃除機の動きが鈍くなっていても、それでもゴミ捨てない人っています。
その人が悪いのではなく、私たちが受けている研修先の社長さんが言うには「それが当たり前」なのです。
しかし、次の人に回さずに自分のターンでゴミを捨てる人がいる。
と言うのもまた事実です。
それがそれぞれのの仕事のクオリティなんだと思います。
どこに就職しても、掃除だけでなく色んなタスクが任されるようになります。
新人さんも、入ってある程度の日数がたてば何かしらの仕事を任されます。
その仕事を確実にこなすことができるかどうか。
そこにチャンスが潜んでいます。
今年、多賀さんと言う優秀で見た目もかわいく、誰からも好かれる新人さんが入ってきてくれました。
社歴の長い私から見て、今のところはまだ欠点が見えていません。
その多賀さんは、会社の断捨離から発生した不要物をメルカリで出品する。
と言うミッションを任されました。
ぶっちゃけ、やり始めたのは去年とかおとといくらいでしょうか。
決まった担当と言う人は存在しなく、誰かしらがなんとなく気づいたらやっている。
と言った感じでした。
なので、時には質問がユーザーから来ても気づかなかったとか、売れているのに数日気づかないとか、売れてないのにずっと値下げされていないなど、会社の本業でないがために色んな所で見過ごされている場面がありました。
そこで今年の多賀さんがなんとなくその「メルカリ」の管理を任されました。
なんとなく、新人さんにそういうのを任せると、先輩社員が売れていることに気づいて、新人社員にさんに毎回指示を出す。
新人さんは言われたことだけをこなす。
そんなイメージがします。
しかし、多賀さんは先輩が状況確認をせずとも、勝手に状況を確認しパッパと発送処理をしていくのです。
進捗確認とか、毎回結果報告を求めなくても、もうほっといても任せらせるレベルです。
先輩社員でも、そこまでキチキチと細かいところまでメンテナンスする人は、そう多くないです。
そんな仕事ぶりを見せてくれた多賀さん。
多賀さんの仕事ぶりが、社長を始め先輩社員達から認定されました。
本人は気づいているのかどうか、「優秀だ」と言う言葉が、社内で飛び交っています。
だから、今回新規事業でリーダーを任されている斉藤課長も、大きい仕事を多賀さんに任せることにしました。
新規事業の一部をぜひ多賀さんに担当してもらしたい。
と斉藤課長が発言した時、社長もすんなりOKを出したし、その場にいた社員は誰も反対せずに賛成しました。
そうした仕事で「結果」を作ることが自分の居場所を作ることになります。
結果を出せば次に何かあった時に、仕事が回ってきます。
先輩社員や自分もそうですが、
過程の中で「努力した」とか、「工夫した」とか、「何とかやろうと頑張った」とかよくそんな言葉が出ます。
しかし、いくらそんな言葉が出ても、周りがあの人「頑張っていた」と言う言葉を発しても、
「成果物」
と言う結果を出さなければ、何も仕事をしていないのと同じです。
すごく早いやり方でやろうが、外注に出そうが「成果物」を出さなければ何の意味もないのです。
うちは、社長の経営手腕のおかげで「ヒマになる」と言うことがないです。
あっ、「ヒマ」と言う言葉で思い出しました。
余談ですけど結果を出さない人ほど、やりたくない仕事が降ってきた時に
「時間が空いたらやる」
「手が空いてらやる」
「ヒマになったらやる」
と言います。
これ、特徴です。
しかし、ヒマになることなんてないのが定石です。
そう言う人は手が空いたって絶対にやりません。
逆に、仕事ができる人ほど、どんなに忙しかろうが
「ヒマになったらやる」なんて言いません。
そんなことを言わずにやってしまいます。
もし「時間が空いたら」と言う人がいた時には、「それはやらない」と言っているに等しいと思って対処して下さい。
話が逸れたので戻します。
コロナウィルスの打撃はうちの会社にも出ています。
それでも、やはり「ヒマ」ではなく「やることが山積み」なのです。
うちの会社には
お客様対応をする人や、バックヤードで集客につながる仕事をする人などがいますが、量の差はあれ「タスク」と言うものが存在します。
忙しいから「タスク全部」が予定通りにこなせるように時間の確保なんてできません。
「結果を出す人」は必ず結果が出るだけのことをしています。
時間の確保ができなければ、必ず上長に自分の状況を伝え、時間の確保ができるよう調整をしてもらうか、使える時間の中で何を優先して、何を捨てるのかを確認しています。
「結果を出せない人」は自己判断で後回しにし、期日になった時点やその直前で「タスクを提出することがどだい無理だ」と言うことが発覚し、会社全体に迷惑をかけることになるのです。
結局は誰かがフォローをするか、損害を出すかになります。
誰かがフォローをするということは、余分にその人が時間を使うから結局は人件費の損失になります。
会社も、「業績あっての存続」なので、今回の多賀さんのような人が出てくれば、何か大切な仕事があった時には、多賀さんのような人に仕事が回ってきます。
任せる側も、確実にやって欲しいので、確実にやる人を「選ぶ」のは当然です。
私が今後何かを任された時に、誰かに仕事を依頼するとしたら、選ぶ人選の対象に多賀さんが入ってくるのは確実です。
多賀さんはきっとそんな計算もなく、今まで生きてきた習慣の一つとして、たまたまメルカリの出品のまつわるお仕事を完璧にやったのだと思います。
しかし、それが自分の居場所とステイタスを確保したのは間違いないです。
子育てをしている私から言うと、親御さんの育て方が良かった。と言いたい。
だから、
会社で認められれる人材になれたのはご両親のおかげだ
と多賀さんは感謝して欲しい。
以前、仕事ができて経理を担当していた女性社員が、結婚退職しました。
多賀さんはその女性社員に似ている。と入社前に情報が流れていましたが、すでにその女性社員を抜き去っている気がします。
今年はコロナで大変な年ではありますが、こうして期待できる新人が入ってきてくれた。と言うのは大きな収穫です。
応募してくれた多賀さん、ありがとうございます。
そして、採用してくれた社長にも感謝です。
多賀さんが、仕事で結果を出し続けていくと、きっとこの先壁にぷつかることもあると思います。
そんな時は、私も先輩社員の一人として励まして応援したいです。