将来の仕事
石田由香
暑い日が続きます。
みなさん、いかがお過ごしでしょうか。
今回はお仕事の話をさせてもらおうと思います。
息子が幼稚園に行っていた頃の話です。
発表会の際に、園長先生が話していた内容で、この子達が大人になる頃にはたくさんのお仕事が存在しなくなっている。
という話がありました。
なるほど。
うまいことを言うもんだな。
さすがは園長先生だ。
と思ったものです。
私が子供の頃は、スマホというものは存在していませんでした。
そもそも、電話は家に置いてある固定電話だけで、持ち歩きながら話せるとかそんな概念はなく、将来そんなアイテムが登場して便利になるなんて想像すらしませんでした。
その時代の電話の会社と言えば、NTTのみ。
国営なみの会社で、入社したら安泰。
将来は約束されたものでした。
しかし、今は電話はスマホにとって代られつつあります。
家に固定電話がないのは当たり前で、身分を示す書類の電話番号で携帯電話番号を書く人はざらです。
NTTはまだ存在しますが、携帯電話会社の方が来客数は圧倒的に多いはずです。
NTT系列のdocomoだけでなく、auやsoftbankだけでなく、最近は楽天やUQも出てきたりして激戦区となっています。
子供の頃はパソコンやインターネットという存在もなく、それにまつわる仕事が世の中に溢れてくるなんて誰も分かりませんでした。
そんなこと、今まで生きてて考えもしていませんでしたが
その話を父兄に向けて話してくれる園長先生はたいしたものです。
最近、10数年後に息子が就職し、年を重ねても存在する仕事ってなんだ?
と、とことん考えてしまいます。
みなさん気づかないかもしれないですが、なくなっていく仕事は身近にたくさん出てきています。
先日、定期検査のため市内で一番大きな病院に行った時のことです。
数か月に一度通院し、採血検査をしてもらっています。
いつも長蛇の列ができている採血検査場です。
受付のカルテを受付に出して、印刷されているバーコードを読み取ってもらい、受付の人の端末から発行された番号の紙を自分のカルテにホッチキスでとめる作業をしてもらわないといけません。
その仕事をする人はたった一人で、受付の席に座り、心電図検査と併せて受付作業をテキパキと行っています。
とてもスピーディーにやってくれていますが、長蛇の列すぎて、その受付に並ぶための整理券を看護師さんが立って番号を札を渡し、その札の順番が来たらやっと受付に並べるというシステムになっていました。
その受付にはいつも同じ女性が座っていて、年齢は私と同じくらいでしょうか。
いつカルテを提出しても、明るく元気で感じよく「おはようございます」と言ってくれます。
たまに違う方も座っていたりしますが、「おはようございます」の言葉は出てこないです。
なので、私はいつも座っている方とお互いに「おはようございます」を明るく挨拶をするのをちょっとした楽しみにして採血に挑んでいました。
半年ほど前でしょうか。
いつもの検査に行ったら、実際に採血をする看護師さんが並び立つ採血ブースがプチリニューアルしていました。
看護師さんとは、すっかり顔なじみなので、
「ちょっとリニューアルしましたね。」
と声をかけ
「これはまだ途中で、もっと変わるみたいなのよ~」
なんて血を抜かれながら看護師さんと話していました。
そんなことをすっかり忘れ、6月頃に再び検査で行ったらなんと採血するフロア全体が、フルリニューアルして、すっかり様変わりしていました。
壁もなくなりオープンになって、ベンチも増やされていました。
しかし、ショックなことが・・・。
なんと、自販機ほどの大きさのマシンがデーンと立っているのです。
そして、受付という存在は消失していました。
想像の通り、バーコードをマシンにかざせば、自動で番号札を発行する。
というマシンが、受付の人にとって代わってしまったのです。
私も企業で働いているので、受付の人の分の人件費と患者さんを回す稼働で満足度が上がり、コストに見合えばシステム化するのは理に適っていると分かります。
ですが、受付の人の仕事がなくなった現場を見てしまい、ショックを受けました。
IT化やAIが進めばなくなる仕事はたくさんあります。
恐らく、銀行の窓口や市役所の窓口なんかも、本気を出せば一気になくなる気がします。
市内のスーパーのいくつかは、無人のレジができ自分で精算できてしまいます。
ユニクロも購入商品を置けば自動精算ができます。
私達が運営しているホームページというものも、もうCMSというものがあって当たり前なので、htmlやcssという知識がなくてもサイト運営ができます。
そうすると、昔ほどコーダーさんが必要になる機会も減っています。
何が言いたいかと言うと、機械ができる仕事をしていては、いつその仕事がなくなってもおかしくない。
という危機を背負っているということです。
「人」にしかできないことは何なのか?
今、自分がやっている仕事も「人」にしかできない価値を出しているのか?
決まったことを決まった通りにやることは、もちろん大切です。
ですが、相手がお客様てある場合はそれではダメな場合があります。
お客様に対して杓子定規に決まったことを決まった通りにやっていては、いずれ機械に仕事を取られるでしょう。
お客様は機械では対応しきれない価値を求めて、人の対応を受けにやってくるのではないでしょうか。
その価格が100円のジュースであったり、198円のキャベツであれば機械でいいかもしれません。
しかし、何百万円もする車であったり、何万円もする家具を買う際、気軽に簡単に買い替えたり、追加で購入するなんてできません。
だからこそ専門的知識を持つ人からのアドバイスや、ちょっとしたコミュニケーションを楽しみに訪れるのではないでしょうか?
会社で実施された性格診断で、人とのコミュニケーションを避ける傾向にあると出ている私でさえ、いつも行く病院の受付の人との挨拶がささやかな楽しみになっていたほどです。
今、自分がやっている仕事は「自分にしか出せない価値」を生み出しているのか?
今読んでいる方が若い方であればあるほど、考えるべき点ではないでしょうか。
マシンやシステムの進歩はめざましいです。
今、会社のIT化を進めているからこそ、肌で感じています。
特に福井県の企業のIT化は、東京などの都会の企業と比較してかなり遅れています。
Excelを使いながら、なんとかうまくやろうとしている会社がほとんどです。
パッケージのシステムをダウンロードして、そのまま使っている会社も多いです。
しかし、今はERPやCRMなどをクラウドで使っていくのが主流になりつつあります。
ではありますが県内の企業で導入しているところはそう多くはないです。
考え方や今やっている仕事は、どんどんアップデートしていかないと、いつか必要とされなくなってしまいます。
日々、勉強と研究は怠れないです。
たかが挨拶ですが、マシンでも自動音声で「イラッシャイマセ」という言葉を発することはできます。
しかし、明るく感じよく「いらっしゃいませ♪」とあいさつができ、お客様に「快」を与えられるのは、今後IT化やAIが発達しても「人」にしか出せない価値になると思います。
しかし、人は一律ではないので、コンディションや個人によって「いらっしゃいませ」の「差」が出てきます。
スタッフが10人いれば、「いらっしゃいませランキング」で1位の人もいれば10位の人もいます。
当然のことながら、下位になればなるほどマシンの発する自動音声レベルに近づきます。
時々、コンビニに行くと自動音声の方がまたマシでないか。
という「イラッシャイマセ」を聞きます。
将来ずっと、マシンに負けずに今の仕事を続けるためには、たかが「イラッシャイマセ」でも、どんな仕事でも、マシンに勝ち続けていかないといけないです。
「価値をどのように出すのか」を考えるだけで、その差って出せるのではないでしょうか?