幹部研修を受けて 「社員をひいきする」ことについて
石田由香
ENJOBの決算を終えて、次の期に入りました。
4月に課長に選んで頂いて、早くも5ヶ月目に入りましたが、「まだ5ヶ月」というよりは「もう5ヶ月」という感想が率直な気持ちです。
自分以外の課長さんはベテランさんで、就任してからかなりの研修を受け、経験も積んできたので自分との力量さは雲泥の差です。
そんな新米課長のため、外部研修である「幹部塾」や「夢合宿」の受講させて頂けることとなりました。
幹部研修の受講の様子
私の場合、主婦と言うことで東京の研修会場まで泊りがけで受講しにいくというわけにはいかないので、リモートでの研修スタイルを選択させて頂きました。
今回受けた幹部向けの研修というのは、様々な点で勉強になり多くのことを学ばせて頂きました。
その中の一つで、会社の仕組みを変えることで業績を上げたり人員配置を変えることがあり、そのおかげで自社の時短につながる提案をさせて頂きましたが、そのお話はまた別の機会があればさせて頂ければと思います。
今回の幹部塾の中で学んだこととして紹介させて頂きたいお話は、宿題として出た本にも書いてあり、研修先の社長さんが講義をされていた「社員をひいきする」というテーマについてです。
「ひいき」と聞くと、なんだか良くないイメージが沸きます。
なんとなくの自分が持つ「ひいき」をイメージすると、自分の感情を優先して、誰かを優遇したり肩入れしたりする意味合いに感じます。
そんな「ひいき」について研修で学んだ内容を書かせて頂きます。
本の中では、3つの事例に当てはまる場合には、「ひいき」をしていい。
と書いてありました。
その3つの中から、今回は
「自ら手を挙げる積極的な部下に、えこひいきしてもいい」
と書かれた一つの事例について取り上げさせてもらいます。
会社で必要とする業務や役割について、「やりたい」と手を挙げる人をひいきしていいですよ。
と言うことであることは、読めば分かると思います。
今年、わが社には期待のルーキーが入社してきました。
今年に入ってからこちらのブログを読んで頂けている方は、ご存じだと思いますが「提中悠佑」さんです。
彼が生み出した名キャラクター「しょんぼりんご」のTシャツを着た社長と、提中さん本人
彼は新卒でわが社に入社してくれました。
社会人経験は全くなく、入社前の内定段階での飲み会での参加の際には、とても人懐こく、愛されキャラである印象を受けました。
そんな彼が今年の4月に入社してくれたのですが、その際の自己紹介は新入社員さんならではの初々しさがあり、とても「上手」とは言えないものでした。
大抵の新入社員さんは、入社式ではどなたも緊張してテンパっています。
入社式では襟が立っていた提中さん
写真の通り、目も泳いでいて自信なさげでした。
棒立ちで誰にも目を合わさず、アワアワしていました。
そんな彼は、入社してから指導担当の多賀さんに初日からしごかれ、2日目では別人ではないか?というものすごいオーラを発してスピーチをしてくれたのです。
文句なしで全員大絶賛の拍手喝采もののスピーチでした。
初日の提中さんはまさしく「しょんぼりんご」そのものでしたが、翌日には豹変していて、その場にいたみんなを感動させてくれました。
彼は計算してみんなを感動させようとしてやって見せたのではないはずです。
無心になってひたすら多賀先輩の指導の通りに素直にやったんだと思います。
そんな無心さ、素直さ、そんな姿がみんなに感動を与えたはずです。
最近の提中さんのスピーチの様子
そんな提中さんは、最近では先輩達に引けを取らないスピーチをするようになりました。
そんな彼を見て、ある人の入社当時を思い出しました。
提中さんと同じく、入社当時はスピーチも苦手で、3分のスピーチでというオーダーでも、5分以上話す新入社員さんがいました。
そんなスピーチが苦手な方でしたが、周りの先輩達から見ても、一生懸命さを感じたし、どん欲で
いろんなことを挑戦したい!
そんな意欲をたくさん感じる新入社員さんでした。
ちょっとわが社を知っている人は、誰だかもうわかると思います。
それが現在課長になっている、斎藤課長です。
入社当時の斎藤課長
入社当時の斎藤課長は、傍目に見ても社長から「ひいき」されていると分かりました。
「ひいき」と言っても、彼女だけがお給料が高いとか、彼女だけが休日が多いとか、そういう待遇面の「ひいき」ではありません。
役割を任せてもらえたり、見せ場に登場する「チャンス」をもらえる「ひいき」を受けていました。
当然のことながら新入社員さんだから、代表で「スピーチをする」とか、会社で外部に出た際に「リーダー」をするとか、当時まだ10代だった斎藤課長にはそんな力量があるわけないです。
なんせそんな経験は積んで来ていないし、教育も受けてきていないのだから当然のことです。
でも斎藤課長は、失敗するかもしれないけど逃げずに挑戦して来たし、自ら「やってみたい」と手を挙げ続けてきました。
当たり前のことですが、入社して数年間は失敗続きのこともありました。
しかし彼女の近くで見てきましたが、失敗した時は心の底から悔しがり、次にチャンスが来た時には逃げずにまた手を挙げ、挑戦しました。
それでもできないこともありましたが、諦めずに何度も何度も挑んできた結果の一つとして、今では課長として部下を持ち、スピーチをすれば社内の上位の常連メンバーとなりました。
今年の入社式での斎藤課長
あの当時、斎藤課長本人も社内にいた人も、ここまで成長するなんて想像もしていなかったと思います。
研修先の社長さんの講義でも言っていますが、新人さんは自分で「枠」を作らず挑戦していくことが大切です。
手を挙げて「やりたい」と自己表示をできたらいいですが、提中さんのようにまだ新人さんで、「手を挙げる」とかそんなこと考える余裕もなく、ひたすら一生懸命やるしかないという人もいると思います。
私はそれでいいと考えています。
一生懸命に取り組んでいるか、80%のエネルギーで「それなりに」やっているかは、周りの人は見ていれば分かります。
先程も書きましたが、提中さんは計算して何パーセントのエネルギーでやろうなんて考えていませんから。
しかし一生懸命に全力投球しているからこそ、社長が見て「ひいき」しよう!と思うのです。
提中さんは手を挙げるとかしませんでしたが、無我夢中でやることを通して「手を挙げた」と私は感じています。
そんな提中さんだからこそ、社長が「チャンス」を作りました。
ENJOBでは1ヶ月後に経営計画発表会を控えています。
私が今年はその運営を任せてもらっているのですが、社長から次の指令を受けました。
「提中さんにも、何か役割をつけて欲しい」
会社懇親会での提中さん
VIPのお客様も迎えるため、通常であればそんな大切な場面で新人さんに役割がつくことはないです。
提中さんの仕事への姿勢を見て、社長は「ひいき」という抜擢をしたのだと思います。
それに対して私もみんなも、「おかしいだろう」とか「なんでひいきするんだ」なんて思わないです。
提中さんを見て納得するものを感じていますからね。
ベテランになると、そんな新人さんの時の素直な気持ちって忘れがちになります。
たどたどしかろうが、うまくできなかろうが、新卒でも中途でも、新しい会社に入ったら「頑張ろう」という気持ちで入って来ます。
それが1年たち、2年たちと何年も勤続年数を重ねてくると、できるだけ手間をかけずに、少ない労力で「効率的」に仕事をしようと無意識にしてしまいます。
受けた研修では「それが当たり前のことだ」と言っています。
最初は元気に溌溂と挨拶していたのに、年数を重ねるとだんだんと「しょんぼりんご」な挨拶になったり
責任者に任命されて嬉しくて頑張ろうと思っていたのに、何度も経験すると自分がリーダー役に指名されると「なんで自分が」「誰か他の人がやったらいいのに」と思ったり
新しい仕事を覚えて一生懸命やってたはずが、慣れてくると流れ作業でやるようになってきます。
そうなるのが普通です。
だからこそ、提中さんの一生懸命な姿は先輩社員に感動を与えるし、そんな初心を思い出させてくれます。
来年の4月には入社式が行われ、提中さんの後輩が入社してきます。
提中さんは今の一生懸命さを失わなければ、「ひいき」を受け続けられるはずです。
たくさんの新しいポジションを経験し、もっともっと成長するはずです。
そんな提中さんは、来年入社の新入社員さんの目にはきっと「カッコイイ先輩」として目に映るはずです。
どんな先輩になっているのか、その姿を見るのがとても楽しみです。
そしてその提中さんの先駆者となっている斎藤課長。
斎藤課長の講義を受ける提中さん
入社当時の斎藤課長と出会い、ずっと一緒にお仕事させてもらっていました。
たくさんもがいている姿も見てきたし、悔しがっている姿も見たし、目をキラキラさせている姿もたくさん見せてもらってきました。
そんな斎藤課長がこの先
どんな目標を見つけて、どんな成長をしていくのか、進化を遂げていくのか。
先輩社員の一人として、近くでその進化の過程を見させてもらうことが、とても幸せであり、楽しみであります。
いつもいつも先輩課長として、相談に乗ってくれてありがとうございます。